今回はブラジル中西部について紹介します。
この地域は、ブラジルの5つの地域の中で唯一どの州も海に面していない地域であり、 隣国パラグアイとボリビアの両国にも接している地域です。
そして、この地域はほかに比べて一番地域内での差が大きいところといえるかもしれません。
その理由のひとつとして、自然環境の違いがあります。
熱帯雨林、パンタナールと呼ばれる湿原、セラードと呼ばれるサバンナ地帯 …これらが多様な環境を作り上げているんです。
そして、中西部で親しまれているフルーツのペキー。
ですが、危険なフルーツともいわれているので、その理由についても紹介しています♪
また、この地域には首都ブラジリアもあり、ここはなんと首都かつ世界遺産でもあるとっても珍しい場所なんですよ!
ブラジルと聞いて、一般的にはイメージされることの少ない地域と思われる中西部ですが、知れば知るほど奥深く、面白いものが満載です。
少しでも興味を持って読んでいただけると嬉しいです。それではいってみましょう!
ブラジル中西部の特徴と気候
ブラジル中西部はポルトガル語でCentro-Oeste(セントロ・オエスチ)といいます。
ここはブラジルの5つの地域の中で唯一、どの州も海に面していない地域になんです。
気候については、中西部の北側では熱帯に位置し、雨季と乾季がありますが一年を通して気温があまり変わりません。
一方、中西部でも南の方になると季節が分かれて、ブラジル南部の方に近い気候になります。
そして、首都ブラジリアがある連邦区は 標高約1100mの高原に位置しているなど、広大な面積からその気候も多様です。
また、自然環境については、熱帯雨林、パンタナール、そしてセラードが広がっています。
パンタナールとは湿地のことで、セラードはブラジル高原に広がるサバンナ地帯のことを指します。
中西部だけでなく、ボリビアとパラグアイにもまたがった世界最大の熱帯性湿原のパンタナール。
雨季には面積の約70%が水に沈むなど、その独特さから多くの生物が生育していることから、パンタナールは「生物の宝庫」とも呼ばれているんです。
一方、セラードは耕作には向いていない地質なので、昔から肉牛の放牧地として使われてきました。
また、現在のブラジルの首都ブラジリアは、サルヴァドール、リオデジャネイロを経て遷都してきた歴史を持ちます。
首都ブラジリアについては、後ほどまた紹介しますね♪
そして、この中西部地域は、3つの州と連邦区と呼ばれる1つの区とで構成されています。
3つの州と1つの連邦区で構成されている
中西部は、マトグロッソ、マトグロッソ・ド・スル、ゴイアスの3つの州で構成されています。
紫色のCentro-Oesteとされている部分になります。
そして、地図を見るとわかりますが、ゴイアス州のなかにDistrito Federalと書かれている部分がありますよね。
これが首都ブラジリアがある連邦区になります。
後ほど紹介しますが、この都市はブラジル人建築家によって設計された計画都市で、1960年に首都として制定された場所です。
そして、これら3つの州と連邦区についても、それぞれ出身によって以下のような呼び方があります。
出身州 | 呼び方 | |
---|---|---|
Mato Grosso | mato-grossense | マトグロセンセ |
Mato Grosso do Sul | mato-grossense-do-sul sul-mato-grossense guaicuru | マトグロセンセ・ド・スー スー・マト・ゴロセンセ グアイクール |
Goiás | goiano/a | ゴイアーノ |
Distrito Federal | brasiliense | ブラズィリエンセ |
州の名前に基づいているものが多いので、どこの州なのか予想しながら見るのも面白いかもしれません。
別に呼び方を覚える必要はないのですが、こんなのあるんだ―程度に見てもらえればと思います^^
次は中西部の食についてみてみましょう!
ブラジル中西部の食について
ブラジル中西部では、ナッツやフルーツ、肉牛の放牧が盛んなので肉類はもちろん、湿原があるので淡水魚も豊富にとれるのが特徴です。
そしてマトグロッソ、マトグロッソ・ド・スルの2つの州は外国と隣接しているので、交易の影響を受けている地方もあります。
そして、ブラジリアがある連邦区を含むゴイアス州も、肉類に魚類、ナッツやフルーツなどが豊富です。
今回は中西部で昔から親しまれている、でもちょっと危ないフルーツについて紹介します。
危険なフルーツ「ペキー(pequi)」
ペキーは中西部では一般的に食べられているフルーツの一つです。
黒みがかった紫色の殻の中に、黄色い食べられる部分が1つの実に3〜4個入っています。
ペキーはとても独特な味とチーズのような香りを持っている、好みが分かれる不思議なフルーツです。
また、ペキーは「危険なフルーツ」だともいわれています。
それは、毒を持っているとか、見た目が毒々しいとかそういう理由ではありません。
実はペキーの種には、無数の細かいトゲがあるからなんです…!
そのままかぶりついたら大変なことになるそうですよ、こわい…
そんな危険なペキーですが、とても愛されているフルーツで、ごはんや鶏肉と一緒に食べるのが一般的です。
そして、このペキーをメインに使ったペキーライスというメニューもあるんですよ。
ペキーライス(Arroz com pequi)はペキーの炊き込みご飯
まず最初に、ペキーは下準備として、外側を柔らかくするために15分ほど油で揚げる必要があります。
そこまでしないとこのフルーツを食べられないのか、と思ったのは私だけではないはずですw
味つけは割とシンプルで玉ねぎとニンニク、塩コショウ、好みで唐辛子などを加え、お米と一緒に炊き上げます。
ここでもポイントがあって、ペキーのトゲを出さないためにペキーが柔らかくなりすぎないように注意するということです。
食べる時も、トゲに注意しながら、ウサギになった気持ちで周りをこすり落とすように歯を使って食べるのがポイント。
なんと繊細な技術が必要とされるんだ!と思いますが、それに勝るおいしさと魅力があるようです…。
ちょっと怖いけど、なんだか試してみたくなりません?w
続いては、中西部の世界遺産についてみてみましょう!
ブラジル中西部の世界遺産【 首都ブラジリア 】
ブラジルの首都ブラジリアは、首都であり、かつ世界遺産でもあるという特別な都市です。
ブラジリアは建設された計画都市で、昔から首都だったわけではなく、1960年にリオデジャネイロから首都が移されました。
世界遺産に登録された理由としては、都市自体が近代建築として美術的に評価されたことにあります。
世界遺産には1987年に登録されましたが、建設から40年足らずでの登録は当時としては異例のことだったそうです。
そんな建築物が評価されているブラジリアの街は、とても面白い特徴があるんです。
上空から見たときに、ブラジリアの街の中心地は飛行機の翼を広げたような形になるように作られているんですよ♪
この街はブラジル人建築家ルシオ・コスタの設計により建設されました。
実はこの都市がある場所は、かつては荒涼としたセラードの大地が広がっていました。
そんな所に、計画から約5年間で都市を完成させたという驚くべき記録をもつ首都でもあるんです。
なぜそんな短期間で?と思いますが、それには首都を移転するという目的の方が大きかったからだともいわれています。
首都を移した理由は内陸部の開発のため
ブラジリアを内陸部に建設したのは、内陸部を開発するという目的があったからだったんです。
先ほど、ブラジリアが首都になるまでは、リオデジャネイロがブラジルの首都だったと紹介しました。
ブラジルは植民地の歴史や、地理的な問題などで内陸部より沿岸部の方が早くに発展してきたんですよね。
そのため、沿岸部の人口を分散させて内陸部を発展させるため、ブラジリアは内陸部の過ごしやすい場所が選ばれました。
また、前首都のリオデジャネイロはポルトガルの影響を強く受けた街で、街並みはもちろん、言葉のアクセントなどにもポルトガルの名残が表れています。
ですが新しく首都を建設すれば、他国の影響を受けていない、ブラジルの色を表現した首都をつくることができます。
ポルトガルを彷彿とさせるリオデジャネイロより、ブラジルだけの雰囲気をまとった首都という存在が欲しかったという思いも、当時にはあったかもしれません。
ブラジリアへの遷都は失敗?
実は「ブラジリア」とインターネットで検索すると、「失敗」というワードも出てきます。
ブラジリアは世界遺産にも登録されて、内陸部の開発目的も達成されたのに…?
その理由についてちょっと調べてみると、失敗として挙げられるポイントは3点ありました。
1点は、ブラジリアは予想より発展しすぎてしまったのが理由でした。
当初の予想人口を大幅に超え、2016年には約298万人の人口を抱える都市となりました。
そのため、周辺30~40㎞にある衛星都市と大きな経済格差が生まれてしまって、治安に影響を及ぼす原因の一つとなっています。
また、2点目は街の作りが理由です。
ブラジリアは整備されたキレイな道路がありますが、自動車移動を基本としたため、実際の生活には不便を感じたり、道路が広すぎて車線変更が大変なこともあるそうです。
最後の3点目としては、未だ人気や認知度は沿岸部の都市、リオデジャネイロやサンパウロの方が高いということも少し残念なところ。
多くの外国人にとって、ブラジルと聞いて連想するのはリオデジャネイロだったり、ブラジル人であってもビジネス以外で行く人はあまりいないそうです。
このような点から失敗都市などと非難されてきたというブラジリアですが、今では批判よりも良い評価がされているとのことです。
ブラジリアの街をみると、街並み、斬新な建築物…と小説に出てきそうな近未来的な都市のように感じます。
言葉より映像で見たほうがイメージが伝わると思うので、街並みが撮影されたこちらの動画を紹介しますね。
この都市を約60年前に完成させたということ自体がすごいと思いませんか?
ブラジルのように広くて文化も多様な国が、国の画一的なイメージを作ることは難しいと思いますが…
ブラジリアという独創的な首都を作ったことで、ある意味「ブラジルらしさ」が創造できたのかもしれないと感じます。
まとめ
今回はブラジル中西部について紹介しました。
リオデジャネイロなどの沿岸部の都市と比べて、あまり一般的にイメージされにくい中西部ですが、とても独特で面白い自然や料理があります。
世界最大級といわれる湿原のパンタナールへは公共交通機関がないので、行くならツアーになるようですが、ブラジル国内外から人気の旅行先なんですよ。
また、危険なフルーツのペキーも、トゲは怖いですがチーズのような個性的な味と、ビタミンなど栄養分も豊富なので、昔から中西部で親しまれているんですね。
そして首都のブラジリアは、遷都した経緯や失敗と言われたりなど、いろいろな苦難もあったと思われますが、今見ても近未来的な建築物や整然とした道路には感動します。
ブラジルの地域ごとに見ていくことで、それぞれの違った一面を見ることができて、少しでも面白いと思ってもらえれば嬉しいです。
最後まで読んでくださってありがとうございました!Tchau♪
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