【なぜ日本語にポルトガル語由来の言葉がある?】歴史からみえる2つの言語の関係

Oi, gente!ポルトガル語学習中のBrancaです♪

私たちが普段使っている日本語の中には、外来語の単語や言葉があったりしますよね。

よく言われる和製英語というものですが、英語の時も同じように使うと、全くわかってもらえない…なんてことも多々あります。

ですがそれは英語由来の言葉でなかっただけで、本当は他の外国からの言葉なのかもしれません。

実は、私たちが日常使っている日本語の中に、意外にもたくさんポルトガル語由来の言葉があるんです。

ご存じのものもあるかもしれませんが、今回、ポルトガル語が日本語に影響を与える歴史と併せてポルトガル語由来の日本語についてまとめてみました。

すると、交流のきっかけとなった戦国時代の「鉄砲伝来」の意外な史実や、ポルトガル語宣教師たちが日本語に及ぼした意外な発明があったこともわかりました。

そして、 似ていない部分は多いものの、日本語とポルトガル語は、主語が省略できる点と同意を求める語尾が一緒というのが面白い共通点でもあります。

最後に、日本語とポルトガル語の繋がりを知るうえで大切だと感じた「コロニア語」という話し方についても紹介します。

コロニア語とは、ポルトガル語圏のブラジルへ渡った日本人たちが用いた、日本語とポルトガル語を混ぜ合わせた話し方のことです。

日本とポルトガル、そしてブラジルも物理的距離はとても遠いけれど、言葉の歴史を知れば意外に近く感じられるかもしれません。

雑学的に、気軽に読んでいただければ嬉しいです♪それではいってみましょう^^

目次

日本にポルトガルの文化がやってきたのは戦国時代に遡る

ポルトガル人が日本にやってきたことを連想するイメージ

日本に初めてポルトガル人がやってきたのは、1543年の種子島と言われています。

ですが、日本に勇んでやってきたわけではなく、ポルトガル人を乗せた中国船が暴風雨により種子島に流れ着いた、というのが事実のようです。

ポルトガル商人が中国の貿易船に乗船していただけ、という説が有力なようです^^;

当時、ポルトガルはすでに大航海時代の進出によって、東南アジアやマカオで交易を行っていました。

なので、諸説ありますがポルトガル人がすすんで鉄砲を広めた、という訳ではなく、中国の倭寇がお金欲しさに日本に売り込んだ、という説もあるそうです…。

とはいえ、鉄砲に興味を持った日本人は、このとき金2,000両で鉄砲2挺を譲り受けることになりました。

そして当時、日本は戦乱の世であったため、鉄砲は有力な武器として取り入れられ全国に広まっていったそうです。

これがいわゆる「鉄砲伝来」、そして日本とポルトガルの交流の始まりです。

日本は、それまで中国や朝鮮とは長い交流の歴史がありましたが、西洋との出会いはこれが初めてのこと。

南蛮貿易と呼ばれたこの交易により、ポルトガルからは鉄砲・火薬・中国の生糸などが輸入、日本からは銀・金・刀剣などが輸出されました。


そこから、やがて様々なポルトガル文化が日本にも徐々に広まるようになったということですね。

続いて、日本に浸透したポルトガル語由来の言葉について見てみましょう♪

【ポルトガル語由来の日本語】今でも日常的に使われる言葉も多い

ポルトガル語の由来を連想するイメージ

私たちが日常的に使っている日本語の中に、ポルトガル語由来の言葉は結構あるんです。

例えばコップ。私たちは毎日目にするし、使ってもいますよね。

ポルトガル語ではCopoといって、発音は「コゥポ」のような言い方ですが意味は同じです。

そしてボタンも、ポルトガル語ではbotãoで「ボタォン」と言い、これも意味は一緒です^^

その他、ポルトガル語由来の日本語の言葉には、このようなものがあります。

日本語ポルトガル語(発音)ポルトガル語意味
ボーロbolo(ボーロ)ケーキ
ブランコbalanço(バランソ)揺れ、左右の動き
かるたcarta(カルタ)手紙
カッパcapa(カパ)マント
こんぺいとうconfeito(コンフェイト)砂糖菓子
じょうろjarro(ジャーホ)取っ手の付いた水差し
おんぶombro(オンブロ)
パンpão(パォン)パン
シャボンsabão(サバォン)石鹸
タバコtabaco(タバコ)タバコ

どうでしょう、意外に似ていると思いませんか?

ちなみに発音はブラジルポルトガル語の読み方を、できる限りカタカナ表記してみました^^;

異国の言葉が長い時間を経て、今もなお日本で使われているなんて、なんだか紡がれてきた歴史の重みが感じられます。

そして、言葉だけでなく意外だったのが、ポルトガルが日本と交流を持ったことにより、日本語の表記にも変化が及んでいたことです…!

半濁点(゜)はポルトガル人によって発明されたものだった?

半濁点とは、日本語にあるパ行にある「゜」の記号のことです。

当時、ポルトガル人宣教師たちは、日本での布教活動のため日本語を学んでいましたが、日本語のかな表記に「p」を含む音がないことに不便を感じていました。

そこで区別を示すために、ポルトガル人が半濁点(゜)のもととなったものを発明した、と言われています。

半濁点が発明されたおかげで、ポルトガル語の表記も容易になり、区別されず使われていた日本語の表記もパピプペポへと変化していったというわけです。

それまでの日本では、半濁点(゜)だけでなく濁点(゛)も用いられていなかったため、書き物を正しく読み上げることは難しかったのではないかと考えられます。

当時の日本はそれが当たり前だったので、書物を扱うような知識人には特に支障なかったのかもしれませんが^^;

こういう経緯を知ると、歴史の出来事は、確実に言語にも大きな影響を与えているんだと改めてわかりますよね。

続いては、ポルトガル語と日本語の言語の違いや類似点について見てみましょう。

日本語とポルトガル語は似てる?大きな違いは言語族

言語の違いを連想するイメージ

私自身ポルトガル語の学習をして感じるのは、日本語とポルトガル語は似ている点がほとんどない言語だということ。

それもそのはず、言語の分類を示す言語族が日本語とポルトガル語ではそもそも違うからです。

ポルトガル語はラテン語を基とするロマンス諸語という言語族に属していて、スペイン語やイタリア語とよく似ている言語です。

そして、もっと広義の言語族でいえば英語も同じなので、単語も明らかに英語に似ている点が多いです。

文字も同じアルファベットですし、同語族だと言語学習の上達も早いのでうらやましい限りです…^^;

言語のつながりや、ポルトガル語と英語の類似点についてはこちらの記事にまとめていますので、よかったら読んでみてください♪

対して、日本語は言語の持つリズムからも、他の外国語と類似する言語が全くないとされている言語なんです。

中国語は漢字とは言えども語順は英語と同じですし、韓国語は語順は同じですが文字は違いますしね…。

ただし、ポルトガル語でも、これは日本語に似ているのでは?と思えるポイントが2つあるんです!

似ている点は「主語の省略」と同意を求める時の語尾「~ね?」の2つ

日本語とポルトガル語の言語的な類似点は、主語が省略できること、そして語尾に「~ね?」をつけるという2点です。

主語が省略できる

英語では文法的に絶対許されない省略不可な主語を、ポルトガル語では省くことができるんです。

ポルトガル語では主語に応じて動詞が変化するので、主語がなくても動詞から理解することができるんですよ^^

日本語でも主語を省いて話すことは多く、省いても相手に内容もスムーズに通じるのでその点は似ていると思います。

同意を求める時に語尾に用いる「~ね?」

語尾に「~ね?」とつけるのは、同意を呼び掛けたり念押しの際に日本語でもよく使いますよね?←コレですw

ポルトガル語では、もともとはnão,é?(ナォン、エ?)が簡略化して「 ~né?(ネ)」に変化したものです。

使い方は日本語と同様に、同意を求めるときに語尾に「 ~né?」とつけます。

似ていない言語なのに、語尾が同じような使い方になるのは面白いですよね。

そういった共通点からも、ポルトガル語が少し身近に感じられるような気もしませんか?

そして、日本語とポルトガル語の関係において、ポルトガル語圏であるブラジルという国の存在も切り離せません。

ブラジルは、今や日本にルーツを持つ人々が一番多い国の一つでもあるからです。

ブラジル移民の歴史で生まれた日本語ポルトガル語混ざりのコロニア語

ブラジルに渡った日本人を連想するイメージ

日本からブラジルへの移民は1908年に始まり、その後国策移民としてたくさんの日本人がブラジルへ渡りました。

そこでの言語変化の面で興味深いのが、「コロニア語」という話し方についてです。

戦後あたりからブラジルでの日系社会は、ポルトガル語で「他国からの移民集団」を意味する「Colónia(コロニア)」と呼ばれるようになりました。

そこからコロニア語という名前の由来になったと言われています。

コロニア語とは、簡単に言うと日本語にポルトガル語の単語や言葉を組み合わせて話す言葉です。

その日本語は移民1世の出身地の日本の方言が反映され、それにポルトガル語が混ぜ合わされた、独特な話し方になります。

出身によって方言も異なり、人によりポルトガル語の混合度合も違うので、いろいろなタイプのコロニア語が存在していたとも言われています。

例えを挙げると、こういった話し方になります。

「オージ(Hoje)、メルカード(mercado)に行ってセノウラ(cenoura)を買わんにゃいけん。」

意味は「今日、市場に行ってニンジンを買わないといけない。」となります。

日本から渡った1世と、ブラジルで生まれ育った2世以降が共生するためには、こういった言語変化は必然なのかもしれません。

このような話し方はブラジルに限らず、外国の日系社会において、現地語と日本語が混ざった言語変化が現れるそうです。

歴史的にも外国に移住した人々の苦労を知ると、こういった言語変化についてもどこか切ない気持ちにもなったりします。

自分たちの方言とポルトガル語を混ぜて使うことは、当時の人々の生きる上での術でもありますが、ある意味、故郷を忘れないための方法でもあったのかなと感じました。

まとめ

今回は、日本語とポルトガル語の関係について、接点となる歴史や由来のある言葉、言語の共通点、ブラジルでのコロニア語についてまとめてみました。

一見縁がなさそうな日本語とポルトガル語ですが、はじまりは戦国時代からという、その繋がりは歴史的に古いものであったこと。

はじめて西洋との接点を持った日本において、ポルトガルの文化は日本語にも相当大きな影響も与え、それが今でも言葉に根付いていたんですね。

ポルトガル人がいなかったら半濁点はどうなっていたんだろう?とも思います^^;

そして、ポルトガル語圏のブラジルでも、移民という別の歴史によって日本語とポルトガル語は深い繋がりを持つ言語となりました。

普段何気なく使っている言葉が、外国の文化や歴史が積み重ねられてきたものだったと改めて感じられると、言葉そのものへの興味がより湧いてくる気がします。

そう感じながら日本語を紡いでいくと、日常使う日本語も洗練されたものになりますし、きちんと頭を使って言葉を選んで、言葉を大事にすることもできると思います。

そしてある意味私たち日本人は、すでにポルトガル語の知識が少しある、と言えるかもしれません。

そういった意外なアドバンテージもあるので、日本語という母語も大切にしつつ、ポルトガル語にも興味を持ってもらえると嬉しいです^^

最後まで読んでくださってどうもありがとうございました!Muito obrigada!

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このブログを運営している人

ブラジル音楽がきっかけでポルトガル語の学習を独学で始めました。
英語とポルトガル語をたのしく学ぶために、いろいろ試行錯誤中です。
学んで得た知識や気付きなどを記事にしています♪

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