ブラジルは日本の約23倍もの面積があるとても大きな国です。
広大であるうえに、様々なルーツを持つ人々の文化が入り組んでいるので、ブラジルもアメリカのような人種のるつぼと言えます。
なので、ブラジルは地域によって、まるで異国かと思うくらいに違った特色や個性豊かな文化を持っているんです。
今回は、5つの地域に分けられているブラジルの中でも、北部地域について紹介します。
ブラジル北部には、食べると舌が痺れるタカカという名物料理や、アマゾン熱帯雨林の世界遺産など、ブラジルの濃いエネルギーがみなぎっているものがたくさんあります。
興味のない人にとっては、ブラジルのことを知って何のためになるの?と思うかもしれません。
ですが、ブラジルのことを知って新しい発見があるたびに、そこから自分の常識や当たり前の感覚に気付くことができるんですよ。
私たちは新しいものを知ると、自分の中にある常識や価値観と無意識に比較して、いいなと感じたり、受け入れがたいなどと思ったりするはずです。
後に紹介しますが、ガラナというフルーツの見た目が「目玉」にしか見えなくて、正直私は苦手ですw
ただ、これだけではなくて、知識を得たうえで、自分の考えに生かしていけるものはあるかな?と考えてみると、外国文化を知るのも途端に面白くなりますよ♪
そういった意味でも、地球のほぼ裏側に位置しているブラジルという国を知ることは、とても面白いテーマなんじゃないかと思うんです。
少しでも興味を持って読んでいただけると嬉しいです。それではいってみましょう♪
ブラジル北部の特徴と気候
ブラジル北部はポルトガル語でNorte(ノルチ)といい、国土の約40%を占める5地域中最大のエリアです。
その面積のほとんどを世界最大の熱帯雨林であるアマゾン熱帯雨林が占めています。
北部の気候は、高温多湿な熱帯雨林気候で、平均気温は25度以上、年間を通してあまり変化はありません。
アマゾン川流域にはブラジルの先住民が住んでいたり、またアフリカの黒人文化も色濃く広がった地域なので、文化、習慣、宗教などにおいて、先住民、ヨーロッパ系移民、アフリカ文化の融合が見られる地域です。
そして、この北部地域は7つの州で構成されています。
7つの州で構成されている
北部は、アクレ、アマゾナス、ホライマ、ホンドニア、パラー、アマパー、トカンチンスの7州で構成されています。
緑色のNorteとされている部分になります。
この7州のなかでも、パラー州にあるベレン、アマゾナス州にあるマナウスは観光拠点として有名な街です。
そして、個人的に面白いと思うのが、ブラジルはすべての州において、それぞれの州出身の呼び方があることなんです。
この7つの州の出身者の呼び方は以下のようになります。
出身州 | 呼び方 | |
---|---|---|
Acre | acriano/a | アクリアーノ |
Amazonas | amazonense | アマゾネンセ |
Roraima | roraimense | ホライメンセ |
Rondônia | rondoniano/a rondoniense | ホンドニアーノ ホンドニエンセ |
Pará | paraense | パラエンセ |
Amapá | amapaense | アマパエンセ |
Tocantins | tocantinense | トカンチネンセ |
日本で例えると、博多出身の人を博多っ子といっているような感じなのでしょうか。
ブラジルは広いので、出身地の地名を言うよりも出身州を言う方が伝わりやすく都合がいいのかなと思ったりします。
次は北部の食について見てみましょう!
ブラジル北部の食について
ブラジル北部では、マンジョッカ(キャッサバ芋)と魚類がよく食べられているようです。
そして熱帯雨林でとれる面白いフルーツも豊富で、ガラナ、アサイー、クプアスなどといったアマゾンならではのフルーツもあります。
また、高い栄養価から近年話題になっているブラジルナッツも、ブラジル北部で主にとれるものなんですよ。
そして、冒頭に私が見た目が苦手だといったフルーツ、ガラナはブラジルの代表的飲料にもなっています。
炭酸飲料で人気のガラナ(Guaraná)
ガラナは、アマゾン川流域を原産地とするフルーツです。
ガラナという名前は、ブラジルに住む先住民の一つのグアラニー族に由来していて、昔は祭りの時にガラナエキスを取って、滋養強壮剤や民間療法にも用いられていたそうです。
実際、ガラナは神経衰弱、疲労回復、動脈硬化などに効能があると言われています。
カフェインも多く含まれていて、その量はコーヒーの2倍もあるんですよ。
そしてブラジルでは、ガラナは人気の炭酸飲料として不動の位置を占めています。
こちらのガラナ・アンタルチカというメーカーが一番有名で、サッカーブラジル代表公式スポンサー飲料にもなっているんです。
日本でも輸入食品店、ネット通販で購入できますよ♪
日本ではガラナ飲料よりも、炭酸飲料と言えば、まずコーラが挙げられるのではないかと思います。
でも、実は北海道だけはガラナ飲料も同じくらい人気があるんですよ。
かつて北海道だけ本州よりコーラの販売が遅れたために、その間にガラナ飲料が普及して北海道で人気になったようです。
北海道とブラジルのガラナ飲料と飲み比べてみても面白いかもしれませんね♪
舌が痺れるスープのタカカ(Tacacá)
そして、北部の名物料理としてタカカという料理があります。
これは北部のベレンという町の郷土料理で、野菜とエビの入った黄色いスープです。
スープはツクピー(Tucupi)という、キャッサバ芋を煮詰めて発酵させてできた黄色いソースから作られます。
具材は干しエビと、ジャンブー(jambu)と呼ばれるセリ科の野菜。
クイア(cuia)というひょうたんを半分に割って作られた器に注がれ、スプーンは使わず、具は竹串1本で食べます。
なんだかおもしろい食べ方ですよね!
味もかなり強烈で、黄色いスープのかなりの酸っぱさ、塩味、そして舌のしびれ。
そう、このスープを飲むと口が麻酔で麻痺したときのようなしびれがくるそうです。
口を麻痺させる感覚は、野菜のジャンブーからくるものです。
ブラジル北部では、かつて民間療法としてもこの野菜は使われていたそうです。
このスープは北部ではタカカ売りの屋台があって、通常午後にタカカゼイラス(tacacazeiras)と呼ばれる女性たちが販売しているそうです。
タカカは、日中の暑さを癒す存在のスープとして根強い人気があります。
アマゾンの自然が育んだ食材は、すっぱしびれる新感覚の刺激を持つ料理を作り上げていったんですね。
ブラジル北部の世界遺産
北部の特徴として挙げたアマゾン熱帯雨林は、「中央アマゾン保全地域群」として世界遺産にも登録されています。
ここは、国立公園や保護区など複数の場所がそれぞれ世界遺産に登録されていったことで、現在の600万ヘクタールを超える保全地域群となりました。
世界最大の熱帯雨林として、「地球の肺」とも呼ばれるアマゾン。
二酸化炭素吸収量と酸素の放出量、独自の生態系や生物の多様性を理由に世界遺産に登録されました。
アマゾンマナティーやデンキウナギ、アマゾンカワイルカなど、アマゾンならではの貴重な生物が生息する、世界中でも有数の豊かな生態系を保つ貴重なエリアとされています。
しかし、この世界遺産指定外のエリアでは森林伐採や環境破壊が問題となっているんです。
不法伐採や不法な金の採掘なども深刻な問題となっていて、先住民保護区にも影響を及ぼしています。
行き過ぎた行動は様々な希少生物の減少や、先住民の生きる場所を奪うことにもなり、地球レベルでは気候変動にも影響してきます。
近年の異常気象を見る限り、地球はいろんな要因で確実に変化しているのでしょうが、それを人間が助長しているような気がしてなりません。
今一度、何が最も大切なのか、国や世界全体でももちろん、個人でも先を見据えた上で考えていかなければいけない問題なのだと感じます。
アマゾンに住むブラジルの先住民
アマゾン川流域は、国内最大数の先住民の居住地があることでも知られています。
ブラジルの先住民族は、305の民族、274の言語を持つと言われ、人口はおよそ90万人、そのうちの約半数がアマゾン流域に暮らしているそうです。
先住民族保護区は全国にありますが、アマゾンが最も広い面積を持っており、そこで様々な民族が暮らしています。
ブラジルの友人から、Yawanawá族のところに行ったことがあるという話を聞いたので、この民族について少し紹介しますね。
Yawanawá族(ヤワナワ族)は、ブラジル北部アクレ州の、ペルーとの国境近くに居住しています。
サンパウロからであれば、飛行機6時間、車3時間、船8時間すべてを乗り継いでやっとたどり着くことのできる場所です。
そしてこの民族は1つの村に皆で住んでいるのではなく、グレゴーリオ川のほとりのさまざまな場所に分散して居住しています。
キャッサバ、バナナ、トウモロコシが基本的な主食で、狩猟と釣りを主に行い、美しいボディペインティングやヘッドドレスも特徴的です。
Yawanawá族を検索すると、YouTubeにこのような動画がありました。
友人はYawanawá族から、かつて土地を侵略されたことがあったこと、クリスチャンになるように強制しようとしてきた人々がいたことなどを教えてもらったと言っていました。
このように一時は脅かされながらも、外部との接触を上手に持ちながら部族としての形を維持している先住民もいます。
そして今の時代、若い世代ではスマホやインターネットを活用している先住民もいるんですよ。
SNSで自分たちの生活スタイルなどを発信している人もいて、今までうかがい知ることのできなかった内側からの世界を垣間見ることができます。
ただし国連が定義している先住民の権利には、「孤立したまま暮らす権利」というのもあるので、部族によってこちらとの接触を望んだり、望まないという選択ができる権利を大切にする必要があります。
私たちもこの情報世界に飲み込まれないようにしつつ、これからどのようにして生きていくか、ということを彼らの姿勢から考えさせられたりします。
まとめ
今回は、ブラジル北部について、特徴、食、世界遺産、そしてアマゾンに住む先住民について紹介しました。
どれひとつとっても、日本とはあらゆる点で違っていると思いませんか?
エネルギーに満ち溢れて、アマゾンの濃い力強さみたいなものを感じます。
気候も食事もいろいろ違って、知らないことだらけで面白いと思ってもらえると嬉しいです。
そして先住民の中でスマホを扱う人々もいることについて、部族のアイデンティティが失われていくのではないかと最初私は思いましたが…
でも、もうこの情報世界には抗えなくなってくるのかもしれません。
それよりも、外部の世界に接触して上手に活用しながら、部族を後世につなげていくことの方が現実的だと、彼らは判断しているのだとも感じます。
ブラジルのあと4つの地域についても、また紹介しますね♪
最後まで読んでくださってありがとうございました。Muito obrigada!
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